冷たさの記憶

日時：2025年9月
場所：某警察署 → 安置所

本日の指示は警察署からの搬送だった。
予定通り到着したものの、医師の到着が遅れ、1時間ほど待機することになった。

時間になると署の担当に呼ばれ、処置を開始した。
ご遺体は女性で、検視シートの上で全裸で仰向けになっていた。

私は静かに浴衣をお着せし、布団に包み、ストレッチャーへ移したが、
その作業の途中に私の腕にご遺体の肌が直接触れた。ひんやりとした冷たさが、思いのほか強く伝わってきた。

霊柩車にご遺体をお乗せした後、今回は初めてご遺族に同乗いただいた。
私から言葉をかけることはなく、車内には静かな時間が流れた。私はただ、安全にご遺族と故人を安置所へお連れすることだけに集中した。

無事に安置まで終えることができたが、慌ただしい時間の中で触れた「あの冷たさ」は、今もずっと心に残っている。