神棚封じ
roku
霊きゅう車と億りびと
日時:2025年9月
場所:某病院 → 霊安室
今日は午前に1件の仕事をしたのみで、現在の時刻は17時30分。
日勤は8時〜18時までなので、指示がなければ18時で業務終了で、その後は宿直の担当に引き継ぐのが通常だ。
「今日はこのまま終われるかな」と思っていた矢先、17時35分頃に電話の着信音が鳴った。指示の電話だ。
すでに宿直担当も準備していたが、まだ日勤の時間帯。
正直、一瞬「まじか…」と心の中でつぶやいてしまった。けれど、待っている方がいる。気持ちを切り替え、「しっかり対応しよう」と準備を整えて病院へ直行した。
道はある程度知っていたので、狭い道も選びながら急いで到着。現場にはすでに葬祭担当が来ていた。霊安室に車を着けるため、暗く長い通路をバックで進む。
霊安室では故人と、涙を浮かべるご遺族の姿があった。その光景を見て「しっかり務めよう」と改めて思う。故人に顔あてをして布団に包みストレッチャーへ。そして霊柩車にお乗せし、安置所まで静かに走った。
到着は19時30分頃。土曜ということもあり安置所では通夜が行われていたが、邪魔にならないように手早く車両を着けて故人を室内へ。ドライアイスを当てて安置を終えた。その後車庫に戻って洗車。すべてが終わった頃には心身ともに疲れていた。
この仕事は決して高待遇とは言えない。給与は前職の半分ほどだし、会社の環境も正直厳しい部分がある。
それでも私は、この仕事を通じて多くを学びたいと思っている。ご遺族と故人に寄り添う、その一瞬一瞬に意味があると信じているからだ。