狭いエレベータと、ご遺族の言葉
だいぶ間が空いてしまいました。
気が付けば、私もこの仕事を始めて1年が経過しました。
本当にたくさん失敗してきましたし、失敗を通して少しずつ成長もできたと思います。
何歳になっても成長出来るもので、ビックリです。
これからも失敗することは多いと思いますが、もう少し頑張っていきたいと思います。
先日は、某老人ホームへのお迎えと、近隣の安置所までの搬送を担当しました。
私は出動指示を受けて出発しましたが、出発後に指示者から電話が入りました。
内容に変更はありませんでしたが、最終確認の連絡でした。
いつも思うのですが、運転中によく電話が入ります。
その都度、情報を伝えようとしてくれているのだと思いますが、
運転中の電話は注意が散漫になりがちですし、会話の内容も頭に入りにくくなります。
安全面を考えると、できれば改善してほしいところです。
そんなことを考えながら、私は老人ホームへ向かいました。
私は、普段から、よく知っている道でも、なるべくナビを設定するようにしています。
道を間違えないためでもありますが、ナビを設定するメリットは、渋滞などを考慮した到着予定時間が分かることです。
基本的に搬送にはお迎え時間が指定されるので、到着見込みが分かることは安心材料にもなります。
予定通り老人ホームに到着しました。
老人ホームは病院と違い、霊安室がないことが多いため、通常は玄関正面に車両を着けています。
今回も同じように車両を着け、念のため職員の方に、
「車両はこの位置で大丈夫ですか?」
と確認しました。
問題ないとのことでしたので、車両からストレッチャーを降ろし、職員の方の誘導で館内へ入りました。
故人は2階にいらっしゃるとのことでした。
エレベータに乗ろうとしたところ、私は少し驚きました。
エレベータの奥行きが小さく、ストレッチャーがそのままでは入らなかったのです。
ご遺族からも心配そうに、「車いすで降ろすのですか?」と尋ねられました。
私は、「大丈夫ですよ。ストレッチャーを立てて、エレベータを使用します。
しっかり安全ベルトをしますので、ご安心ください」
とお伝えしました。
【狭いエレベータへのストレッチャの乗せ方】
実際はこんな風にしました。※AIで作ったので、実際と違う部分もあります。(笑)

故人をストレッチャーにお乗せした後、安全ベルトをしっかりと確認しました。
そして、エレベータの中でストレッチャーを立て、自分の力で支えながらドアを閉めました。
なんとか無事に1階まで降ろすことができました。
エレベータを降りた時には、正直なところゼーゼーするほど息が上がっていました。
それでも、ご遺族の前では何事もなかったかのように平静を装い、故人を車両までお連れして、車両にお乗せしました。
その後、ご遺族の車両と一緒に安置所へ向かいました。
道中は、ご遺族の車両がはぐれないように、速度を抑え、バックミラーで後ろの車両を確認しながら走行しました。
無事に安置所へ到着しましたが、この日は安置所が混雑していました。
ご遺族には申し訳なかったのですが、屋外で少しお待ちいただき、その間に故人のご安置とお参りの準備を手早く行いました。
準備が整ったところで、ご遺族にお参りいただきました。
お参りを終え、ご遺族がお帰りになる際には、車両が道路へ出るところまで見送りました。
対向車などが来ていたため、対向車を止めて、ご遺族の車両を誘導しました。
今回、ご遺族がお帰りのため車両に乗る時に思いがけない言葉をいただきました。
「丁寧に対応して頂いてありがとうございます。」
私は、とっさに何と返せばいいのか分かりませんでした。
言葉が出てこなかったので、深くお辞儀をして、
「お気をつけてお帰りください」
とだけお伝えしました。
ご遺族にとっては、何気なく言った一言だったのかもしれません。
でも、こういう言葉をいただけると、やはり嬉しいものです。
今回の搬送では、狭いエレベータへの対応や、ご遺族の車両を先導する際の配慮など、いろいろと考えながら仕事をしていました。
搬送の仕事は、ただ故人を目的地までお運びすれば終わり、というものではありません。
故人を安全にお連れすることはもちろんですが、ご遺族が安心出来る様に、できる限り丁寧に対応することも大切な仕事だと思います。
「丁寧に対応して頂いてありがとうございます」
この言葉をいただいたことで、これまで自分がやってきたことが、少しだけ報われたような気がしました。
これからも、慌てず、落ち着いて、一つ一つの搬送を丁寧に行っていきたいと思います。
